VPSでメールサーバーを構築しよう(後編)

前回に引き続いて、メールサーバーの構築手順を解説します。今回は、Submissionポートの設定や、Dovecotの設定、アカウントの作成などを解説します。

 

 

■Submissionポートの設定

■Dovecotの設定

■メールアカウントとメールボックスの作成

■送受信のテスト

 

 

■Submissionポートの設定

パソコンなどのメールソフトからメールを送信する時に、通常はプロバイダを経由して通信が行われます。この場合、プロバイダが迷惑メール対策としてOP25B(Outbound Port 25 Blocking)を行っていると、VPSのメールサーバーに接続することができず、メールを送信することができません。

そこで、メールソフトからの通信をSubmissionポート(587番)で受けるように設定することで、メールを送信することができるようにします。

この設定は、「/etc/postfix/master.cf」というファイルで行います。まず、次のコマンドを実行して、master.cfファイルをnanoで編集する状態にします。

 

リスト master.cfファイルの編集

sudo nano /etc/postfix/master.cf

 

このファイルの先頭の方に、Submissionポートに関する設定を行う部分があります。次のリストの赤字の行のように、3つの行の先頭から「#」の文字を削除します。

 

リスト Submissionポートの設定

smtp      inet  n       -       n       -       -       smtpd

submission inet n       -       n       -       -       smtpd

#  -o smtpd_tls_security_level=encrypt

 -o smtpd_sasl_auth_enable=yes

 -o smtpd_client_restrictions=permit_sasl_authenticated,reject

#  -o milter_macro_daemon_name=ORIGINATING

 

書き換えが終わったら、master.cfファイルを保存してnanoを終了します。そして、次のコマンドを実行して、Postfixを再読み込みします。

 

リスト Postfixの再読み込み

sudo service postfix reload

 

 

■Dovecotの設定

他から送信されてきたメールは、Postfixによって受信され、サーバーのメールボックスに保存されます。それらのメールをパソコンで受信するには、POP3かIMAPのサーバーを動作させて、メールソフトからそのサーバーに接続します。

POP3/IMAPの両方に対応したサーバーソフトとして、「Dovecot」というソフトを使います。前回の記事でインストールは済ませていますので、ここではその設定を行います。

 

・10-mail.confファイルの設定

Dovecotの設定は、いくつかのファイルに分かれています。まず、次のコマンドを実行して、nanoで「10-mail.conf」というファイルを開きます。

 

リスト 10-mail.confファイルを開く

sudo nano /etc/dovecot/conf.d/10-mail.conf

 

nanoが起動したら、Ctrl+wキーを押して検索する状態にし、「#mail_location =」というキーワードで検索します。そして、見つかった行の後に、次の行を追加します。

 

リスト 10-mail.confファイルに追加する設定

#   mail_location = maildir:~/Maildir

#   mail_location = mbox:~/mail:INBOX=/var/mail/%u

#   mail_location = mbox:/var/mail/%d/%1n/%n:INDEX=/var/indexes/%d/%1n/%n

#

# <doc/wiki/MailLocation.txt>

#

#mail_location =

mail_location = maildir:~/Maildir

 

設定を変えたら、nanoを終了して10-mail.confファイルを保存します。

 

・10-auth.confファイルの設定

次に、「10-auth.conf」というファイルに設定を追加します。次のコマンドを実行して、nanoで10-auth.confファイルを開きます。

 

リスト 10-auth.confファイルを開く

sudo nano /etc/dovecot/conf.d/10-auth.conf

ファイルの先頭の方に、「#disable_plaintext_auth = yes」という行があります。その行の後に、次の行を追加します。

 

リスト 10-auth.confファイルに追加する設定

# Disable LOGIN command and all other plaintext authentications unless

# SSL/TLS is used (LOGINDISABLED capability). Note that if the remote IP

# matches the local IP (ie. you're connecting from the same computer), the

# connection is considered secure and plaintext authentication is allowed.

#disable_plaintext_auth = yes

disable_plaintext_auth = no

 

設定を変えたら、nanoを終了して10-auth.confファイルを保存します。

 

 

・Dovecotの起動と自動起動

Dovecotの設定が終わったら、次のコマンドを実行して、Dovecotを起動し、またインスタンスの起動時にDovecotも自動起動するようにします。

 

リスト Dovecotの起動と自動起動

sudo service dovecot start

sudo chkconfig dovecot on

 

 

■メールアカウントとメールボックスの作成

メールの送受信にはメールアカウント(メールアドレスやユーザー名/パスワード)が必要です。また、インスタンスにメールを保存するために、メールボックスも作成します。

 

・メールアドレスとユーザー名/パスワードの決まり方

ここまでの手順でメールサーバーを設定した場合、メールソフトから接続する際のユーザー名/パスワードは、インスタンスの個々のユーザーのものと同じになります。また、メールアドレスは、「ユーザー名@ドメイン名」のような形になります。

例えば、ドメイン名が「bar.com」だとします。また、インスタンスに「foo」というユーザーを作ったとします。この場合、メールアドレスは「foo@bar.com」になります。また、メールソフトから接続する際のユーザー名は「foo」になり、パスワードはユーザーfooのパスワードになります。

 

・ユーザーの作成

まず、必要なメールアドレスの分だけ、インスタンスにユーザーを作成します。

ユーザーを作成するには、「sudo useradd ユーザー名」のようなコマンドを実行します。例えば、「foo」という名前のユーザーを作成するには、次のコマンドを実行します。

 

リスト fooユーザーの作成

sudo useradd foo

 

また、ユーザーにパスワードを割り当てるは、「sudo passwd ユーザー名」というコマンドを実行します。例えば、「foo」というユーザーにパスワードを割り当てるには、次のコマンドを実行します。

 

リスト fooユーザーにパスワードを割り当てる

sudo passwd foo

 

コマンドを実行すると、「Changing password for user ユーザー名. New password:」のようなメッセージが表示されますので、パスワードを決めて入力します。すると、「Retype new password:」とメッセージが表示されますので、同じパスワードを再度入力します。

 

・メールボックスの作成

次に、個々のユーザーに、メールボックス(メール保存用のディレクトリ)を作成します。これには、次のコマンドを実行します。「ユーザー名」の部分は、実際のユーザー名に置き換えます。

 

リスト メールボックスの作成

sudo su

mkdir /home/ユーザー名/Maildir

cd /home/ユーザー名/Maildir

mkdir cur

mkdir new

mkdir tmp

chown ーR ユーザー名:ユーザー名 *

exit

 

例えば、「foo」ユーザーのメールボックスを作成するには、次のコマンドを実行します。

 

リスト 「foo」ユーザーのメールボックスを作成

sudo su

mkdir /home/foo/Maildir

cd /home/foo/Maildir

mkdir cur

mkdir new

mkdir tmp

chown ーR foo:foo *

exit

 

なお、すでに作成済みのユーザーでメールを受信できるようにする場合も、ここまでで述べた手順で、そのユーザーのメールボックスを作成します。

 

 

■送受信のテスト

ここまでで、メールサーバーの最低限の設定は終わりです。最後に、パソコンなどのメールソフトの設定を行って、メールを送受信できるかどうかをテストします。メールソフトの設定に必要な情報は、表1のようになります。なお、メールソフトの設定手順は、個々のソフトのマニュアルなどをご参照ください。

メールソフトの設定が終わったら、送信元を「ユーザー名@ドメイン名」にしたメールを作成して、送信をテストします。また、送信先を「ユーザー名@ドメイン名」にしたメールも作成して送信してみて、そのメールを受信できるかどうかもテストします。

 

表1 メールソフトの設定に必要な情報

設0定項目 設定する値
SMTPサーバー インスタンスのIPアドレスまたはホスト名
SMTPサーバーのポート番号 プロバイダがOP25Bを行っていれば587

そうでなければ25

POP3/IMAPサーバー インスタンスのIPアドレスまたはホスト名
POP3サーバーのポート番号 110
IMAPサーバーのポート番号 143
ユーザー名 インスタンスに作成したユーザーのユーザー名
パスワード インスタンスに作成したユーザーのパスワード
メールアドレス ユーザー名@ドメイン名

 

 

 

うちだ
サービスクリエーション本部所属        (監修:とみなが)       

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